朝の風景
両手に杖をもって、じいちゃんがよちよち歩いてた。
時々立ち止まって、「ふぅ~」と、深呼吸して。
またよちよち。
その横を、おにぎりをほおばりながら歩く若いサラリーマンのお兄ちゃんがいた。
耳にはイヤホン。
よく行くお店からは配達の魚を受け取る顔なじみの店員さんが働いていて。
時間も空間もみんな一緒のはずなのに、見えてるものはみんな違うんだなぁと思ったら、何だか急に寂しいような気持ちがした。
たくさんの人に囲まれているのに、一人ぼっちの感覚がして。
じいちゃん、がんばれ。と思ったり、にいちゃんいってらっしゃいって思ったり、朝からお疲れ様。って思ったり。
本当は、一方的な妄想で。
伝えないと、伝わらないし。
伝えても、伝わらないこともあるし。
昔、離婚歴2回ある、おいしい料理作ってくれるだいすきなシェフが酔っぱらうとよく言っていたのは、
「みんな居場所を探してる」
って。本当だなぁと思う。
私の好きなメキシコの建築家、ルイス・バラガンは孤独の中からでないと見いだせないパワーあるっていってたな。
孤独とともにあるときのみ、人は自分自身を見いだすことができます。
孤独とはよき友のことです。
私の建築は、孤独を恐れたり避けたりする人のためのものではありません。
でも、バラカンの創る建造物はビビットな明るい色だったりするんだよね。
建築が居場所だったという事かなぁ。