なんてこったい、こったいな
眠いです。
午前3時30分。
ぷーぅんっっっ!と、眠れる森ガールの耳もとを飛び交うモスキート。
(もぅ。。。眠たいのに。)
珠美は、布団を足先から首まで丁寧にかけなおし、眠りに就いた。
ぷぅーーーーーんっっ!
バチ!
「だぁ!!!!」
(なんなのよ。まったく・・・)
気がつくと右目の下に違和感があった。
珠美は恐る恐る人差指で違和感のある個所を撫でた。
(っ!にゃろ・・・!)
見事に刺されていた。
「最悪。」
不機嫌にベッドをあとにし、キッチンの電気をつける。
コンタクトをはずしている珠美は、姿見に近づいてふくらみを確認した。
間違いなく、モスキートの仕業だ。
鼻すじのほくろが大きくなったなぁ、と関係ないことも考えながらキッチンの明かりをつけたまままたベッドにもぐりこんだ。
(明かりのある方へ奴はいくだろう。寝れるかな・・・)
時刻は午前4時34分。
窓の外は、少しずつ明るくなってきている。
(あと3時間。寝れる。)
眠りに落ちかけたその時。
ガタコトガタゴトガトコタ!カチャカチャ・・・
「何??!」
雨どいから、変な音が鳴り響く。
窓を凝視するとそこには、カラスらしいシルエットが。
「もう!」
窓の近くまで行き珠美は怒りながら言った。
「カーラス!カーラスー!」
珠美は何だかむなしい気持ちになった。
『かぁ~かぁ~』
2羽のカラスたちは嘲笑しながら飛んで行った。
(なんか、やな気分だな。このまま起きてよっかな)
珠美は部屋の電気をつけ、コンタクトを装着した。
何を思ったか、おもむろに筆ペンで自分の名前を書く練習をした。
(なるほどね~、ここを強調するとかっこ付くのか~)
「金」という字がうまく書けないので、インターネットで毛筆のお手本サイトを検索して文字のバランスを確認した。
金金金金金金金金金珠美
珠美は、1人でニヤニヤした。
原田真二、高田渡、竹中直人、希望、東京都港区、
次々に筆を走らせた。
筆というものは初めは緊張してしまうが慣れたら、下手でもうまく見えてしまう。
不思議なものだ。
珠美は机上の祝儀袋に目がいった。
(あ、結婚式のご祝儀袋に、この勢いのまま名前でも書くか)
『阿部珠美』
大胆な字が書きあがった。
(あ、なんだか眠たくなった。寝よう)
再びベッドについたのは午前5時28分だった。
すぐには寝付けないと思った珠美は数週間前からコツコツ進めているシムシティをすることにし、DSの電源をつけた。
(お寺に寄付して、発電所は石油に建て直そう。地価をあげたいから、噴水は多めにっと。)
いつの間にか、珠美は寝てしまった。
--------------------------------------------------
そのあとですよ。
次々に、人が亡くなる夢を見たんですよ。
そして寝坊。
今日は不吉な予感。