アラタ の ことば
昨晩、ツギツギにみんなが寝ていき、最後は私とアラタくんでいろんな会話をした。
音楽、芸術、浮世絵、川。
ひとしきり話し終わった私達に沈黙が。
アラタくんが真剣な顔してこういった。
「俺のね、今までの傾向としてさ、今おそらく普通に話しているように思うかもしれないけど、明日になったら全くこの会話覚えてないんだ。」
わたしは、本当に本当に、面白すぎて、そして衝撃すぎてこういった。
「じゃ、今のアラタ君には明日もう会えないんだねぇ。」
アラタ君はこの記事を読んで、へぇ~いろんな話をしたんだなぁと思うだろうけど、話を終えた後はリクエストに応じて私はずっと、うくってた。
アラタ君は
「いいね~いいね~最高だよ」
という。
わたしは、心の中で
「でも・・明日覚えてないんだな・・」
と思いながらも、なんだかその空間が楽しかった。
そしてみんなに混じっていつの間にか寝てしまった。
翌朝、紅茶を飲みながらアラタ君にこう聞いた。
「昨日の会話、覚えてる?」
彼は、びっくりするくらいにまじめな顔で、
「ゼンゼン!」
と言い放った。
「昨日、アラタ君が「俺のね、今までの傾向としてさ、今おそらく普通に話しているように思うかもしれないけど、明日になったら全くこの会話覚えてないんだ。」って言ったんだよ、本当に覚えてないんだね。」
といったら、本人は笑って、
「よくさ、飲んだ次の日にメールで『昨日のお前の言葉で俺諦めないって決めたよ。』とかくれる友達がいるんだけどさ、覚えてないんだよね・・」
といってた。
「いいかげんだなぁ~」
そんなこんなで、アラタくんは口笛吹きながら帰っていった。
なんかさ、寝ることで、前の日の記憶がリセットされるってすごいね。
私も、酔っ払って帰ってきた道のりを覚えてなかったり、会話を覚えてなかったりする。
酔っ払ってなくても、自分の行動なんて全部覚えているわけもなく。
生きているうちで、記憶にとどまる時間なんて本当にわずかなものなんだなぁって、そう思ったよ。
記憶をなくす前の自分が、今のこの自分は明日にはないって認識しているところが
妙におかしかった そんな夜でもありました。