いつもの
いつもの珈琲いつもの場所で〜
珈琲を一時期飲めなかった。
胃が痛くなってから。
本当はブラックとか好きなんよ。
酸味の少ない珈琲が。
伊豆にいた頃、休みは下田に遊びに行き、「茶房 田DEN」というところでよく珈琲を飲んでた。
田は昔旅館だった所を改装してつくられた。
店内に入ると薄暗く右手に大きな深い茶色のテーブル。
ボサノバがステップを踏んでいる。
奥へすすむと茶室があり、先へは進めない階段。
吹き抜けには、紅葉が植えられ、桜の時期はどこからか花びらが舞い込んで来た。
一段下がったところに焼き物が展示されへんてこな形の一輪挿しがいつも私を見つめていた。
1番奥の席に腰掛けて空間をもぐもぐと噛み締めるのが好きだった。
20歳の私は背伸びしたがりで、750円のマンデリンをブラックで頼んでみたりして。
心の中では「マンドリンの間違えじゃないのかな」なんてつぶやいて。
BIGminiで撮った田の写真が確かあったな。
今はもう形もない田。
家事で焼けてしまったそうな。
最後まで潔いわ。
あんな素敵なお店他にないな。
みんなにも行ってもらいたかった。