竹中直人
私が、竹中直人さんを好きになったのは、中学一年生の時。
それまで、いわゆる「コント」を見ても、笑えなかった私が、初めておなかを抱えて笑ったのが竹中直人さんの深夜番組だった。
普通のコント番組は、スタッフの笑い声が聞こえたり、額縁にはまった感じが私はするのだが、竹中直人さんのコント番組は全く違う。
毎週、毎週、深夜番組を欠かさず見ているうちに、竹中直人さんの魅力に溺れていった。
いつしかそれは、恋心に変わった。(笑)
同級生や親戚はスマップやら、TOKIOやら、ジャニーズに夢中の頃、私は竹中直人さんの話を熱く語るたびに苦笑され、私の中のアイドルは「ニコニコクレジット」の猫のおっさん呼ばわれされ、家に呼んだ友達に、無理矢理竹中直人のコント集ビデオを見せ、「二度と来ない!」と帰られたり、クラスの中ではかなり浮いた存在になっていた。
高校へ行ってもその熱は変わらなかった。
暇さえあれば「竹中直人」
当時付き合っていた彼に真剣な顔して
「竹中、竹中って・・・むかつくよ!」
と言われた事もあった。
そんな私が始めて生で竹中直人さんを見たのは19歳。本の出版イベントでのサイン会だった。
順番が近づくにつれ、心臓は高鳴り、汗が出てきて、意識が遠のいていった。
あと3人・・・2人・・・・つっ次だぁっ!!
「どうぞ」
きゃー。見てる!私を見てる!
「・・・・・・。」
「サインここでいい?」
「ひゃいっ!」
・・・・・!!!緊張しすぎて、ひゃいって言っちゃった!
「名前は?」
「ったっ!!たまみだす!!」
・・・・・!!!だすになっちゃった!!
「えーーーい!ハートもつけちゃえ!」
・・・・・・・・・・・!!
微笑みながら私を見る竹中さん。
引きつる私。
「写真とってもいいでしょうか?」
「オーケーあるよ。」
サイン用のペンを握りポーズを決める竹中さん。
撮り終り、握手の手を差し伸べてくれている竹中さん。
触れたら死ぬ!!
と思った私は
「さわれましぇん!」
と言ってお辞儀をして帰った。
あの時の頭の中がふわふわした感覚。
なんだったんだろう。
そして今日、あの頃見ていた深夜番組のDVD化された物がうちに届く。
あぁ。人生。
ふわふわ・・・・・・・・・・・・・・。