おじいちゃんコンプレックス
私が生まれたときから、おじぃちゃんは二人とも天国に
いたので、私はおじいちゃんを味わった事がありません。
味わうって変な表現?
たぶん、私はおじいちゃんコンプレックスです。
街中で、いい笑顔のおじいちゃんを見ると嬉しくなります。
みんなが「うるさい」と感じる、おしゃべりなおじぃちゃんも、
ちょっと傲慢なおじいちゃんも、私は許せちゃいます。
にこにこお話も聞けます。
おじいちゃんと話す事が嬉しいから。
そんな私の自慢は「経験」です。
自分で選んできたその道は、結構自慢が出来ます。
山にもこもりました。
農家もしました。
工場でも働きました。
飲食店を任されてました。
旅館の女将代行もしました。
仲居もしました。
銀座でホステスもしました。
他にも色々しました。
色々な所へ行きました。
ぜ~~~~~んぶ好奇心。
ぜ~~~~~んぶ、流れるままに流されてきました。
今はパソコンの前で仕事してます。
話がそれてしまいました。。。
おじいちゃんについて。
仲居時代の話です。
私は西伊豆の旅館に勤めていました。
その日のお客様は3連泊のお客様。
ご夫婦2人。
到着されてお部屋へ案内し、抹茶をたてます。
気さくな奥様、少し年の離れた細身の旦那様。
旦那様は一言も口を利いてくれずに夕飯の支度。
旦那様は口をきいてくれません。
お風呂の時間。
足が悪く介護がないとお風呂へ入れません。
番頭さんにお願いしますかと聞いたら、奥様は「私が入れてあげたい」と。
それでは、男女入れ替えの時もしくは、お客様がお帰りになる際に、
お風呂を掃除する時間帯があるので、その時に入れるように手配します
と約束。
何とか番頭さんの了承を得て掃除前に貸しきり成功。
そんなこんなで、喜んでもらえているか不安なまま最終日。
玄関で記念撮影。
奥様が耳元でぽそっと私にこう言いました。
「主人あと一カ月ってお医者さんに言われてるんです」
何のことだかよくわかりませんでした。
色々な事を考えました。
奥様が「仲居さんと一緒に」と花壇の前に旦那様と並ぶ。
旦那様が耳元でぽそっと私にこういいました。
「ありがとう。」
私も色々な人に心のこもった「ありがとう」が
言える人間になりたいです。。。。